← 宅建コラム一覧無料で始める
宅建業法7分で読める

手付金等の保全措置|宅建業法41条・41条の2を図解で解説

宅建業者が売主の場合に義務付けられる手付金等の保全措置を完全解説。未完成・完成物件の基準額、保全方法の種類、例外ケースまで試験頻出ポイントを整理します。

この記事の内容

  1. 手付金等の保全措置とは何か
  2. 保全措置が必要になる金額の基準
  3. 保全措置の3つの方法
  4. 保全措置が不要な例外ケース
  5. 保全措置と手付金の上限(2割制限との関係)
  6. 宅建試験での出題パターンと解き方
  7. まとめ:保全措置の重要ポイント一覧

手付金等の保全措置とは何か

宅建業者が自ら売主となる場合、買主から受け取る手付金や中間金などの前払い金(手付金等)が保全されなければなりません。これが「手付金等の保全措置」です。

なぜ保全が必要かというと、物件の引渡し前に宅建業者が倒産した場合、買主がすでに支払った手付金を取り戻せなくなるリスクがあるためです。

根拠法令は宅建業法第41条(未完成物件)と第41条の2(完成物件)です。宅建試験では毎年1〜2問出題される最重要テーマですので、確実に得点できるよう仕組みを理解しましょう。

保全措置が必要になる金額の基準

保全措置が義務付けられる金額の基準は、物件が「未完成」か「完成済み」かによって異なります。この区別が試験で最もよく問われるポイントです。

  • 未完成物件(宅建業法第41条):手付金等の合計額が代金の5%を超えるとき、または1,000万円を超えるとき
  • 完成物件(宅建業法第41条の2):手付金等の合計額が代金の10%を超えるとき、または1,000万円を超えるとき

語呂合わせ:「未完成は5(ご)もうけするな」と覚えると、未完成=5%という対応が定着します。完成物件は寛容度が高く10%まで許容されると理解しましょう。

注意点として、保全措置が必要な金額を超えた時点でその全額について保全措置を講じなければなりません。5%を超えた部分だけ保全すればよいわけではない点に注意してください。

保全措置の3つの方法

保全措置として認められる方法は以下の3種類です。ただし、未完成物件と完成物件では利用できる方法が異なります。

  • ① 銀行等による保証(保証委託契約):宅建業者が銀行・信託会社などと保証委託契約を結ぶ。銀行が買主への返還を保証するため、買主は銀行に対して保証債務の履行を請求できる。
  • ② 保険事業者による保証保険:宅建業者が保険法人と保証保険契約を締結する。宅建業者が倒産等した場合、保険金で買主に返還される。
  • ③ 手付金等寄託契約(指定保管機関による保管):買主から受け取った手付金等を、指定保管機関(宅建業保証協会等)に預ける方法。

重要:③の手付金等寄託契約が使えるのは完成物件のみです。未完成物件では①銀行保証または②保証保険の2種類しか利用できません。

未完成物件で使える保全方法(2種類)

未完成物件(建築工事が完了していない物件)については、保全方法が限定されます。

  • 銀行等による保証(保証委託契約)
  • 保険事業者による保証保険

未完成物件は物件が存在しない段階での取引となるため、より厳格な保全が求められます。そのため、現金を実際に預かり管理する「寄託」という方法は未完成物件では認められていません。

完成物件で使える保全方法(3種類)

完成物件(建築工事が完了した物件)については、以下の3種類すべてが利用できます。

  • 銀行等による保証(保証委託契約)
  • 保険事業者による保証保険
  • 手付金等寄託契約(指定保管機関による保管)

指定保管機関とは、宅地建物取引業保証協会または国土交通大臣が指定した機関です。買主は寄託された金銭について直接請求できる権利を持ちます。

保全措置が不要な例外ケース

以下の場合は、基準額を超えていても保全措置が不要です。試験では「例外の有無」を問う問題も頻出です。

  • 所有権移転登記が完了している場合:買主への所有権移転登記(または保存登記)がされたときは、買主の権利が登記により保護されるため保全措置不要。
  • 手付金等の額が基準額以下の場合:未完成物件で代金の5%以下かつ1,000万円以下、完成物件で10%以下かつ1,000万円以下のときは保全措置不要。

注意:保全措置は宅建業者が売主の場合のみ適用されます。宅建業者が媒介・代理として関与しているだけで、売主が一般人(非業者)の場合は保全措置義務はありません。

保全措置と手付金の上限(2割制限との関係)

宅建業法では手付金の上限も定められており、代金の2割(20%)を超える手付金を受け取ることが禁止されています(宅建業法第39条)。

保全措置の基準(5%・10%)と混同しやすいため、整理しておきましょう。

  • 手付金の受領上限:代金の20%以下(受け取り自体の制限)
  • 保全措置が必要になる基準額:未完成=代金の5%超または1,000万円超、完成=代金の10%超または1,000万円超

たとえば代金3,000万円の完成物件で手付金600万円(20%)を受け取る場合:手付金は受領上限以内ですが、10%(300万円)を超えているため保全措置は必要です。

宅建試験での出題パターンと解き方

手付金等の保全措置に関する問題では、次のパターンが頻繁に出題されます。

  • 未完成・完成のどちらかを判断させ、基準額(5%か10%)を問う問題
  • 使用できる保全方法の種類(特に「寄託は未完成に使えない」という点)
  • 「保全措置を講じた後でなければ手付金等を受け取ってはならない」という受領の順序を問う問題
  • 宅建業者同士の取引では8種規制が適用されないことを絡めた問題

解き方のコツ:問題文を読んだら①売主が宅建業者かどうか、②物件が完成か未完成か、③金額が基準を超えるかの3点を順番に確認する習慣をつけましょう。

なお、保全措置を講じずに手付金等を受け取った宅建業者は業務停止処分または免許取消の対象となる重大な違反です。罰則の重さからも出題者が重視している規定であることがわかります。

まとめ:保全措置の重要ポイント一覧

手付金等の保全措置のポイントを一覧で確認しましょう。

  • 適用対象:宅建業者が売主の場合のみ
  • 未完成物件:代金の5%超または1,000万円超で保全必要
  • 完成物件:代金の10%超または1,000万円超で保全必要
  • 保全方法:未完成は2種類(銀行保証・保証保険)、完成は3種類(+寄託)
  • 例外:所有権移転登記済みの場合は保全措置不要
  • 保全措置を講じた後でなければ手付金等を受け取れない

宅建FastPassの演習問題で繰り返し解いて、条件の組み合わせに素早く反応できるよう訓練しましょう。本テーマは過去10年で9回出題されており、確実に得点できる分野です。

この記事の内容を、まずは無料の体験問題で確認する

宅建FastPass

3問だけで、AI解説・ひっかけパターン・次にやるべき学習の感覚がわかります。

無料で今日の1問を試す →

宅建業法の関連記事

宅建 重要事項説明(35条)の頻出問題(第1問) | 宅建業法
2026-03-03 · 宅建業法
宅建 重要事項説明(35条)の頻出問題(第2問) | 宅建業法
2026-03-03 · 宅建業法
宅建 重要事項説明(35条)の頻出問題(第3問) | 宅建業法
2026-03-03 · 宅建業法
宅建業法の記事をすべて見る →