宅建民法で頻出の制限行為能力者制度を完全解説。未成年者・成年被後見人・被保佐人・被補助人の4類型の違い、取消権・追認・相手方保護まで整理します。
この記事の内容
民法は、すべての人が自由に契約を結べる(行為能力を持つ)ことを原則としています。しかし、判断能力が十分でない人が不利な契約を結ばされてしまうリスクがあります。そこで民法は、一定の人を「制限行為能力者」として保護し、その行為を取り消せる制度を設けています。
制限行為能力者には4つの類型があります。
判断能力の低下度合いで見ると、成年被後見人>被保佐人>被補助人の順に保護が厚くなります。宅建試験では4類型の違いを正確に把握することが求められます。
18歳未満の者は未成年者として、原則として法律行為(契約等)を行う際に法定代理人(親権者または未成年後見人)の同意が必要です。
法定代理人の同意なく行った法律行為は取り消すことができます。
ただし、以下の行為は同意なしで単独でできます。
取消権は未成年者本人または法定代理人が行使できます。また、取消しは相手方に対する一方的な意思表示で足り、相手方の同意は不要です。
未成年者が「成年者である」と偽って(詐術を用いて)契約を締結した場合は、取消権が制限されます(民法21条)。相手方を騙して契約した者を保護する必要はないためです。
「詐術」とは、単に黙っていただけでは足りず、積極的に偽りの申告をすることが必要です。年齢を尋ねられて「成年です」と答えた場合は詐術にあたります。
成年被後見人は精神上の障害により判断能力を欠く常況にある者で、家庭裁判所の後見開始審判を受けた者です。日常生活すら自分で管理できない状態を指します。
後見人が選任され、成年被後見人の財産管理や法律行為の代理を行います。
「後見人の同意があっても取消可能」という点は非常に重要です。被保佐人・被補助人は保佐人・補助人の同意があれば有効な行為ができますが、成年被後見人はそもそも同意の意味をなさないため、代理が原則とされています。
被保佐人は判断能力が著しく不十分な者で、保佐開始審判を受けた者です。日常生活はおおむね自分で管理できるが、重要な法律行為については判断を誤る可能性がある状態です。
保佐人が選任され、民法13条1項に列挙された重要な行為については保佐人の同意が必要です。
保佐人の同意が必要な行為(民法13条1項の主要なもの):
保佐人の同意なくこれらを行った場合は取り消すことができます。
被補助人は判断能力が不十分な者で、補助開始審判を受けた者です。4類型の中で最も保護の範囲が狭く、本人の自律を最大限尊重する類型です。
補助人が選任されますが、補助人の同意が必要な行為は家庭裁判所が個別に定めた特定の行為に限られます(民法17条1項)。被保佐人と異なり、最初から列挙された行為すべてに同意が必要なわけではありません。
被補助人は日常生活どころか財産管理もほぼ自分でできる状態であり、補助人は必要最小限のサポートをする立場です。
制限行為能力者が行った取消可能な行為を取り消すと、その行為は最初からなかったことになります(遡及効)。
追認とは、取消可能な行為を有効と確定させることです。
制限行為能力者と取引した相手方は、取消されるリスクを抱えます。民法はこの相手方を保護するため催告権を認めています。
催告権:相手方は制限行為能力者側に対して、1か月以上の期間を定めて「追認するか否かを確答せよ」と催告できます。
また、制限行為能力者が詐術(偽り)を用いた場合は取消権が制限されます(未成年者の例で前述)。これは全類型に適用されます。
民法の制限行為能力者は宅建試験で毎年1〜2問出題される重要分野です。4類型の比較を軸に整理しましょう。
引っかけポイントとしては、「成年被後見人は後見人の同意があれば有効」(誤り:同意があっても取消可能)、「被補助人の補助開始審判に本人の同意は不要」(誤り:本人の請求または同意が必要)などがよく出ます。
宅建FastPassの一問一答で4類型の同意・取消・代理の違いを繰り返し確認することで、正確な知識として定着させましょう。