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法定相続と遺留分|相続人の範囲・相続分・遺留分の計算方法

宅建試験で出題される法定相続を完全解説。相続人の範囲と順位、法定相続分の計算、代襲相続、遺留分侵害額請求まで具体例で丁寧に解説します。

この記事の内容

  1. 相続人の範囲と順位|誰が相続人になるのかを整理する
  2. 法定相続分の計算|配偶者と各順位との組み合わせ
  3. 代襲相続|相続人が死亡していた場合の取り扱い
  4. 遺留分の割合と計算方法|侵害できない最低限の相続分
  5. 遺留分侵害額請求|2019年改正後の制度を正確に理解する
  6. 相続放棄と限定承認|相続の承認・放棄のルール

相続人の範囲と順位|誰が相続人になるのかを整理する

相続が開始すると、法律の定めに従って財産を引き継ぐ人(法定相続人)が決まります。宅建試験では「誰が相続人になるか」を問う問題が頻出です。

配偶者は常に相続人になります(民法890条)。婚姻届を提出した法律上の配偶者に限られ、内縁のパートナーは相続人になりません。

配偶者以外の相続人には順位があり、上位の順位の人がいる場合、下位の人は相続人になりません。

  • 第1順位:子(実子・養子を含む。非嫡出子も認知があれば相続人)
  • 第2順位:直系尊属(父母、祖父母など。父母がいれば祖父母は相続しない)
  • 第3順位:兄弟姉妹

覚え方:「子・尊・兄弟(こ・そん・きょうだい)」と語呂で順番を記憶しましょう。

相続欠格(民法891条)や廃除(民法892条)により相続権を失う場合もあります。相続欠格は法律上当然に相続権を失うもの、廃除は被相続人が家庭裁判所に申立てて相続権を失わせるものです。

法定相続分の計算|配偶者と各順位との組み合わせ

法定相続分は、誰が相続人になるかの組み合わせによって変わります(民法900条)。試験では必ず数値を正確に答えられるようにしましょう。

  • 配偶者+子:配偶者1/2、子1/2(子が複数の場合は均等割り)
  • 配偶者+直系尊属:配偶者2/3、直系尊属1/3
  • 配偶者+兄弟姉妹:配偶者3/4、兄弟姉妹1/4
  • 相続人が配偶者のみ:配偶者がすべて相続
  • 相続人が子のみ:子が均等に相続

具体例で確認しましょう。被相続人Aの相続人が配偶者B、子C、子Dの3人の場合、BはAの遺産の1/2を取得し、CとDはそれぞれ残りの1/2を均等に分けるので各1/4を取得します。

2013年の民法改正により、非嫡出子(婚外子)の相続分は嫡出子と同等になりました(従来は嫡出子の1/2)。現在の試験では非嫡出子と嫡出子の相続分は同じと覚えてください。

兄弟姉妹の中に半血兄弟姉妹(父母の一方のみが同じ)がいる場合、半血兄弟姉妹の相続分は全血兄弟姉妹の1/2になります(民法900条4号ただし書)。これも試験に出るポイントです。

代襲相続|相続人が死亡していた場合の取り扱い

代襲相続とは、相続人となるべき人が相続開始以前に死亡していた場合などに、その人の子が代わりに相続する制度です(民法887条2項・889条2項)。

代襲相続が生じる原因は3つです。

  • ①死亡:相続開始前に相続人が死亡していた場合
  • ②相続欠格:相続欠格事由(民法891条)に該当する場合
  • ③廃除:被相続人が廃除申立てをして認められた場合

相続放棄は代襲相続の原因にはなりません。これは試験で非常によく問われる点です。Aの子Bが相続放棄をした場合、BのさらにAの孫Cは代襲相続できません。

代襲相続のポイントをまとめます。

  • 第1順位(子)が代襲相続する場合、孫・ひ孫と再代襲が認められる(制限なし)
  • 第3順位(兄弟姉妹)が代襲相続する場合、甥・姪まで認められるが、その子への再代襲は認められない
  • 直系尊属(第2順位)には代襲相続は存在しない

代襲相続人の相続分は、被代襲者が取得すべきだった相続分と同じです。複数の代襲相続人がいる場合はその相続分を均等割りします。

遺留分の割合と計算方法|侵害できない最低限の相続分

遺留分とは、特定の相続人に対して法律が保障する最低限の相続財産の割合です(民法1042条)。被相続人が遺言で全財産を第三者に遺贈しても、相続人は遺留分の範囲で財産を取り戻せます。

遺留分の割合は相続人の構成によって異なります。

  • 直系尊属のみが相続人:遺留分の総体的割合は相続財産の1/3
  • それ以外(子のみ・配偶者のみ・配偶者+子 等):遺留分の総体的割合は相続財産の1/2
  • 兄弟姉妹:遺留分なし(兄弟姉妹には遺留分権利が認められない)

各相続人の個別的な遺留分は、総体的割合に法定相続分を掛けて計算します。

例:相続人が配偶者Bと子C・Dの場合
総体的割合:1/2
Bの遺留分:1/2 × 1/2(法定相続分)= 1/4
Cの遺留分:1/2 × 1/4(法定相続分)= 1/8
Dの遺留分:1/2 × 1/4 = 1/8

遺留分の算定の基礎となる財産には、相続開始時の積極財産に加え、一定期間内の贈与財産(原則1年以内、当事者双方が遺留分を侵害することを知っていた場合は期間制限なし)も加算されます。

遺留分侵害額請求|2019年改正後の制度を正確に理解する

遺留分が侵害された場合、遺留分権利者は遺留分侵害額請求権を行使して金銭の支払いを請求できます(民法1046条)。

2019年(令和元年)の民法改正で大きく変わりました。改正前は「遺留分減殺請求」として現物(不動産の持分など)で返還を求められましたが、改正後は金銭による支払請求に一本化されました。宅建試験でもこの改正後の制度が出題されます。

  • 行使できる相手:遺贈を受けた人、贈与を受けた人
  • 消滅時効:遺留分を侵害する贈与または遺贈があったことを知った時から1年
  • 除斥期間:相続開始から10年(これが経過すると時効の援用なしに消滅)
  • 請求内容:侵害された額に相当する金銭の支払い(物の返還ではなく金銭)

受遺者・受贈者が金銭をすぐに準備できない場合、裁判所は支払期限の許与(猶予)ができます(民法1047条5項)。

遺留分侵害額の計算式:遺留分額 − 遺留分権利者が相続によって得た財産の価額 − 遺留分権利者の受けた遺贈等の価額 + 遺留分権利者が負担する相続債務の額

相続放棄と限定承認|相続の承認・放棄のルール

相続人は、相続の開始を知った時から3か月以内に、単純承認・限定承認・相続放棄のいずれかを選択しなければなりません(民法915条)。この「3か月」は試験頻出の数値です。

単純承認とは、プラスの財産もマイナスの財産(借金)もすべて引き継ぐことです。3か月以内に選択しなかった場合、単純承認とみなされます(法定単純承認)。相続財産の処分も法定単純承認の原因になります。

限定承認とは、相続によって得た財産の限度でのみ債務を弁済するという条件付きで承認することです(民法922条)。

  • 相続人全員が共同して行う必要がある(一人でもできない)
  • 家庭裁判所に申述が必要
  • 相続財産の清算手続きが必要

相続放棄とは、相続人の地位を最初からなかったものとして放棄することです(民法939条)。

  • 各相続人が単独でできる(他の相続人の同意不要)
  • 家庭裁判所への申述が必要(口頭では不可)
  • 相続放棄は代襲相続の原因にならない(重要!)
  • 放棄後は撤回不可(詐欺・強迫による場合は取消し可)

相続放棄をすると、放棄した人は最初から相続人でなかったとみなされるため、次順位の人が相続人になる場合があります。例えば子が全員放棄すれば、親(直系尊属)が相続人になります。

宅建試験での法定相続の出題ポイントと頻出論点

法定相続・遺留分は宅建試験の民法分野で毎年出題される重要テーマです。特に以下の点は繰り返し出題されています。

  • 代襲相続と相続放棄:「相続放棄しても代襲相続は発生しない」という誤りを突く選択肢が頻出
  • 兄弟姉妹の遺留分なし:兄弟姉妹に遺留分がないことは必ず出題される
  • 遺留分の割合:直系尊属のみの場合だけ1/3で、それ以外は1/2という区別
  • 限定承認の共同申述:全員共同でなければならないという要件
  • 相続放棄・限定承認の3か月期間:「相続の開始を知った時から」という起算点

計算問題への対策として、法定相続分の組み合わせパターン(配偶者+子、配偶者+親、配偶者+兄弟姉妹)はすべて暗記した上で、代襲相続が絡む場合の計算練習を重ねましょう。

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