宅建試験で出題される住宅ローン控除を完全解説。適用要件・控除率0.7%・控除期間13年・新築と中古の違い・2024年以降の制度変更まで正確に解説します。
この記事の内容
住宅借入金等特別控除(通称:住宅ローン控除)とは、住宅ローンを利用して住宅を取得・増改築した場合に、年末時点のローン残高の一定割合を所得税額から直接差し引くことができる制度です(租税特別措置法41条)。
「控除」には「所得控除」と「税額控除」の2種類がありますが、住宅ローン控除は税額控除です。所得から差し引くのではなく、計算した税額そのものから差し引くため、節税効果が非常に大きい制度です。
制度の基本的な仕組みを押さえましょう。
2022年(令和4年)の税制改正により控除率が従来の1%から0.7%に引き下げられましたが、控除期間が新築は13年に延長されました。宅建試験では改正後の制度で出題されます。
住宅ローン控除を受けるには、住宅・本人(居住者)・ローンに関する複数の要件をすべて満たす必要があります。試験では要件の正誤を問う問題が多く出題されます。
【住宅に関する要件】
【本人(居住者)に関する要件】
【ローンに関する要件】
住宅ローン控除の具体的な数値は、新築住宅か中古住宅か、また環境性能によって異なります。2024年(令和6年)以降の入居分の主な数値を整理します。
【新築住宅の借入限度額(2024〜2025年入居分)】
【中古住宅・増改築の借入限度額】
控除額の計算式:年末のローン残高(借入限度額を上限)× 0.7% = 控除額(1年分)
例:借入限度額3,000万円の新築省エネ住宅で、年末残高3,000万円の場合
年間控除額:3,000万円 × 0.7% = 21万円
13年間合計の最大控除額:21万円 × 13年 = 273万円
住宅ローン控除を受けるためには、入居した年は必ず確定申告が必要です。給与所得者(サラリーマン)であっても、1年目は確定申告をしなければ控除を受けられません。
2年目以降については、給与所得者は年末調整で手続きが完結します(確定申告不要)。一方、個人事業主や自営業者は毎年確定申告が必要です。
確定申告の際に必要な主な書類は以下の通りです。
確定申告の提出先は、住所地の所轄税務署です。申告時期は毎年2月16日から3月15日の間です(住宅ローン控除の初回申告は還付申告のため、1月1日から提出可能)。
控除しきれなかった分の住民税への転嫁は、前年の所得税額の5%(最大9.75万円)が上限です。所得税が少ない場合でも一定額は住民税から控除される点は覚えておきましょう。
住宅ローン控除は近年の税制改正で大きく変更されています。宅建試験の出題は最新制度に基づくため、改正内容の把握が重要です。
2022年(令和4年)改正の主な変更点
2024年(令和6年)以降の主な変更点
特に「2024年以降の新築は省エネ基準適合が事実上必須」という点は、不動産業として重要な実務知識でもあります。宅建試験でも省エネ住宅の優遇を意識した出題が増加しています。
住宅ローン控除を受けられない、または制限されるケースがあります。試験で誤りを指摘する選択肢として頻出です。
また、増改築の場合の要件として、工事費が100万円超であること、工事後の床面積が50㎡以上であること等が必要です。
控除が適用される期間中に住宅を売却した場合、売却した年以降は控除できなくなります。ただし転勤等による一時的な非居住の場合は、転勤から戻って再居住すれば残りの控除期間について控除を再開できます(単身赴任で家族が引き続き居住している場合は原則として控除継続可)。
住宅ローン控除は「税・その他」分野で出題頻度が高く、特に近年の制度改正に絡めた問題が増えています。以下の重要ポイントを確実に押さえましょう。
不動産取得税・印紙税・住宅ローン控除は「税・その他」分野の3大テーマです。各テーマを単独で覚えるだけでなく、「取得時の税(不動産取得税・印紙税)」と「保有・購入後の優遇措置(住宅ローン控除)」という視点で関連付けて理解すると記憶が定着しやすくなります。宅建FastPassの問題演習でこれら3テーマをセットで対策しましょう。