都市計画法の地区計画制度をわかりやすく解説。地区整備計画の内容、地区計画区域内での30日前届出義務、建築物への制限、宅建試験の出題ポイントまで網羅。
この記事の内容
都市計画法が定める用途地域などの規制は、広いエリアを一律に規制するものです。しかし、同じ住居系用途地域の中でも、場所によって求められるまちの姿は異なります。そこで活用されるのが地区計画です。
地区計画は、街区(ブロック)レベルの細かい単位でまちづくりのルールを定める都市計画の一種です。用途地域による規制に上乗せして、建物の高さ・壁面位置・敷地面積・用途などをより詳細に定めることができます。
例えば、住宅地の一角だけ「道路から建物まで最低2mのセットバックを義務づける」「垣根はブロック塀でなく生垣にする」といった細かいルールを地区計画で定めることが可能です。地域の住民・事業者・行政が協働してまちの将来像を描く制度ともいえます。
地区計画は以下の区域に定めることができます。
用途地域が定められていない区域にも地区計画を定められる点が重要です。郊外の開発予定地や、線引き前の土地でも必要に応じて地区計画でルールを設けることが可能です。
なお、地区計画は市町村が都市計画として定めるものです(都道府県ではない)。市町村の都市計画審議会を経て決定されます。
地区計画は大きく「地区計画区域」の設定と、その中に定める「地区整備計画」の2段階で構成されます。
地区計画区域では、地区計画の目標・区域の整備・開発および保全の方針を定めます。これは地区計画のグランドデザイン(大方針)です。
地区整備計画は地区計画区域の全部または一部について定めるもので、具体的な規制内容が含まれます。
地区整備計画は地区計画と同時に定める必要はなく、後から追加することも可能です。
地区計画区域内(地区整備計画が定められている区域に限る)で一定の行為を行う場合、行為着手の30日前までに市町村長へ届け出る必要があります。
届出が必要な行為
届出先:市町村長(都道府県知事ではない)
届出期間:行為開始の30日前まで
この届出は許可制ではなく届出制です。届出後、市町村長は必要に応じて「設計の変更その他の措置」を勧告することができますが、届出内容が地区整備計画に適合していれば通常は問題ありません。勧告に法的強制力はありませんが、従わない場合はその旨を公表されることがあります。
地区計画区域内でも以下の行為は届出不要です。
宅建試験では「どんな行為が届出必要か」を問う選択肢が多く出ます。農業用倉庫の建築や、住宅の増築なども「建築物の建築」として原則届出が必要な点に注意してください。
地区整備計画では、建築基準法の制限に上乗せして、またはその一部を緩和して、きめ細かな建築ルールを定めることができます。
用途の制限:用途地域で認められている建築物であっても、地区計画でさらに絞り込んで禁止することができます。たとえば、住居系用途地域で認められているコンビニを地区計画で禁止するといった運用が可能です。逆に、用途地域の制限を緩和することもできます(建築基準法68条の2)。
壁面位置の制限:道路境界や隣地境界から一定距離のセットバックを義務づけることで、街並みの統一感を生み出します。
敷地面積の最低限度:過度な敷地分割による過密化を防ぐため、最低限の敷地面積(例:100㎡以上)を定めることができます。
建築物の高さ:最高限度だけでなく最低限度も定めることができます。商業地で低層建物が建ち並ぶのを防ぎ、まちのにぎわいを確保するためです。
地区整備計画の内容(壁面位置・高さ・用途制限など)は、市町村の条例によって建築確認の審査対象となります。条例化されると、建築確認申請時に地区計画の制限への適合が審査されます。
条例化されていない地区計画の内容は建築確認では審査されませんが、届出義務や勧告制度による間接的な担保があります。
宅建試験では「地区計画の制限に違反した建築物に対して建築確認が下りるか」という視点の問題も出ます。条例化されていなければ建築確認の審査対象にならないという点を押さえておきましょう。
地区計画は都市計画法の問題の中で、用途地域・開発許可に次ぐ頻出テーマです。以下のポイントを中心に整理してください。
「届出は事前か事後か」「届出先は誰か」「許可か届出か」という軸で混乱しがちです。農地法や国土法との比較問題も出るため、各制度の届出・許可のルールを横断的に整理することが宅建合格への近道です。宅建FastPassの一問一答で確認しながら知識を定着させましょう。